【美容クリニックのGLP-1(痩身薬)広告】医療広告ガイドラインでの注意点
GLP-1製剤を用いたダイエット・痩身治療は、美容クリニックでも広く取り扱われるようになりました。
一方で、GLP-1製剤を承認された効能・効果とは異なる目的で使用する場合、広告への掲載には医療広告ガイドライン上の注意が必要です。
特に、自由診療に関する通常の「限定解除要件」だけでなく、未承認医薬品等に関する情報の明示も求められるため、ホームページを制作する際には掲載内容を慎重に確認しなければなりません。
この記事では、医療関連のホームページ制作に携わり、YMAAマーク(薬機法・医療法適法広告取扱個人認証)を取得している私が、美容クリニックがGLP-1治療を広告する際に知っておきたい限定解除の要件や、未承認医薬品等に関する表示、注意すべき広告表現について解説します。
医療広告ガイドラインについては、下記記事をあわせてお読みください。
美容クリニックのホームページは医療広告ガイドラインの規制対象?
目次
GLP-1製剤を承認された効能・効果または用法・用量と異なる目的で使用する場合は、「未承認医薬品等」に該当する

医療広告ガイドラインでは、承認された効能・効果または用法・用量と異なる使用の場合には、「未承認医薬品等」に該当するとされています。
「未承認医薬品等」を用いた自由診療について広告する場合には、通常の限定解除4要件に加えて、未承認医薬品等に関する追加の5項目の明示が必要です。
GLP-1製剤には国内で承認されている医薬品がありますが、すべてのGLP-1製剤がダイエット・痩身目的で承認されているわけではありません。
つまり、承認された効能・効果または用法・用量と異なる使用に該当し、「未承認医薬品等」として扱われます。
したがって、美容クリニックがGLP-1製剤を用いた痩身治療をホームページに掲載する際には、その製剤の承認内容や使用目的を確認したうえで、限定解除の4要件に加えて、未承認医薬品等に関する追加項目についても適切に明示することが重要です。
なぜGLP-1は「未承認医薬品等」の扱いになるのか

GLP-1製剤には、もともと2型糖尿病治療薬として承認されている医薬品があります。
GLP-1製剤に限らず、仮に国内で承認されている医薬品であっても、承認された効能・効果または用法・用量とは異なる目的で使用する場合には、「未承認医薬品等」として扱われ、広告掲載に制限がかかります。
そのため、GLP-1製剤をダイエット・痩身目的で使用する場合には、その医薬品がどのような効能・効果で承認されているのかを明示することが重要です。
こうした広告規制は、患者さんが治療内容について正しく判断できるようにするとともに、広告による誤認やクリニックとのトラブルを防ぐために設けられています。
広告掲載に必要な限定解除の基本4要件

美容クリニックのホームページは医療広告ガイドラインの規制対象?
上記記事にも記載しておりますが、おさらいです。
限定解除要件とは、特定の要件を満たすことで、通常は広告できない事項についても広告掲載が可能になる仕組みのことです。
具体的には、下記のような項目があります。
- ホームページなど、患者さんが自ら求めて入手する情報であること
- お問い合わせ用の連絡先や、そのお問い合わせ方法を明示していること
- 自由診療における治療内容や、費用等を明示していること
- 治療における主なリスク・副作用等を明示していること
GLP-1製剤を用いた自由診療について広告する場合も、まずはこれらの限定解除要件を満たす必要があります。
GLP-1(未承認医薬品等)を広告する際に追加で必要な5つの開示事項

未承認医薬品等の場合には、通常の限定解除4要件に加えて、5つの開示事項の記載が必要になります。
- 未承認医薬品等であること(承認された目的と異なることの明示)
- 入手経路等
- 国内の承認医薬品等の有無
- 諸外国における安全性等に係る情報
- 医薬品副作用被害救済制度の対象にはならないことの明示
未承認医薬品等であること(承認された目的と異なることの明示)
例えば、ホームページ上で「GLP-1製剤」を用いたダイエット・痩身治療を掲載する場合には、同一ページ内に「未承認医薬品等」という項目を設け、ダイエット目的としては承認されていない旨を記載する必要があります。
掲載例)
未承認医薬品等:〇〇(医薬品名)は、国内では〇〇の治療薬として承認されていますが、当院が行うダイエット・痩身目的での使用については承認されていません。
入手経路等
続いて「入手経路」の記載も必要です。
海外から個人輸入している場合や、国内の医薬品卸売業者から仕入れている場合など、実際の入手経路に応じて記載します。
掲載例)
国内の医薬品卸売業者を通じて入手しています。
国内の承認医薬品等の有無
未承認医薬品等を使用する場合には、国内に同一の成分や性能を有する承認医薬品等があるかどうかについても記載する必要があります。
国内に承認医薬品がある場合でも、ダイエット・痩身目的での使用について承認されているとは限りません。そのため、使用するGLP-1製剤の承認状況だけでなく、どのような効能・効果で承認されているのかを確認することが重要です。
掲載例)
国内では同一成分の医薬品が2型糖尿病の治療薬として承認されていますが、当院が行うダイエット・痩身目的での使用については承認されていません。
※実際の掲載時には、使用する医薬品の国内での承認状況や効能・効果を確認したうえで記載してください。
諸外国における安全性等に係る情報
未承認医薬品等を使用する場合には、諸外国における承認状況や安全性等に関する情報についても記載する必要があります。
海外で承認されている医薬品であっても、日本国内で同じ効能・効果が承認されているとは限りません。また、重大な副作用などが明らかになっている場合には、その情報についても適切に記載する必要があります。
掲載例)
○○は米国FDAにおいて○○の治療薬として承認されています。諸外国において、○○などの副作用が報告されています。
実際に掲載する際には、使用するGLP-1製剤について、海外での承認状況や安全性に関する最新の情報を確認したうえで記載しましょう。
医薬品副作用被害救済制度に関する情報
未承認医薬品等を使用した治療については、医薬品副作用被害救済制度の対象とならない場合があることについても明示する必要があります。
医薬品副作用被害救済制度とは、医薬品を適正に使用したにもかかわらず、副作用によって入院が必要なほどの健康被害などが生じた場合に、医療費や障害年金などの給付を行う公的な制度です。
掲載例)
本治療で使用する医薬品は、医薬品副作用被害救済制度の対象とならない場合があります。
患者さんが治療を受けるかどうかを判断するうえでも重要な情報となるため、分かりやすい場所に明示することが大切です。
未承認医薬品については誇大広告にも注意

医療広告ガイドラインにおける誇大広告とは、必ずしも虚偽ではないが、事実を不当に誇張していたり、人を誤認させたりするような広告のことを指します。
例えば、GLP-1製剤の場合には、「最近話題のGLP-1製剤が保険適用になりました」といった表現を使用する場合には注意が必要です。
この表現が問題なのは、自由診療(ダイエット目的の場合)が、保険診療になったとGLP-1製剤の中には、一定の条件のもとで保険適用となるものもありますが、美容・ダイエット目的の自由診療まで保険適用になったわけではありません。
そのため、保険適用となる条件を明示せず、あたかもダイエット・痩身目的のGLP-1治療も保険診療で受けられるかのような印象を与える表現は、誇大広告に該当する可能性があります。
「保険適用」という言葉は患者さんに与える印象が大きいため、どのような疾患や条件で保険適用となるのかを正確に確認したうえで掲載することが重要です。
まとめ:正しい表記で信頼される広告を
GLP-1製剤を用いたダイエット・痩身治療を広告する美容クリニックは増えていますが、正しい知識を持たずに広告を掲載すると、知らないうちに医療広告ガイドラインに違反してしまう可能性があります。
バイテックでは、YMAAマーク(薬機法・医療法適法広告取扱個人認証)を取得したスタッフが、医療広告ガイドラインを踏まえたホームページ制作や既存サイトのチェックを行っています。
「未承認医薬品等」に関する記載について、医療広告ガイドラインの指摘を受けた。
「未承認医薬品等」を用いた自由診療を掲載したいけれど、ホームページにどのように記載すればよいのか分からない。
このようなご相談もお受けしております。美容クリニックのホームページ制作や医療広告ガイドラインに沿ったサイト改善でお困りの際は、お気軽にご相談ください。
